長谷ってどんなところ?

2022.3月

【長谷住民からのお便り】長谷の宝「気の里工房」

「気の里工房」は、長谷・市野瀬にある農産物加工施設だ。その発祥は、昭和63年、村おこし気運の高まりが生んだ婦人会「麦わら帽子の会」。現在は伊那市の指定管理制度に基づき、農業法人ファームはせが管理・運営しているけれど、今なお地域のお母さんたちが昔ながらの製法で加工品作りを担っている。そんな長谷の宝、気の里工房がどうやって生まれ、どのように現在の形になったのかを、長谷・溝口の住人、宮川沙加さんが取材しました。

 

 

気の里工房の歩み

各地で、子供からお年寄りまでの村おこし気運が高まっていた昭和63年のこと。「麦わら帽子の会」という平均年齢55歳の婦人の会が発足した。長谷の非持山から杉島までに各支部を設け、会員は70名ほどいたとのこと。各地区に野菜の「無人市」を開設したり、盆を迎える時期には盆花販売の「気さく市」を開くなどして会員の交流を重ねたという。婦人の参加意識を高めると同時に、意欲をそそる活動に繋がっていったようだ。

 

平成4年には、旧長谷村が開設した農産加工施設を農業婦人の会「麦わら帽子の会」が施設運営を受託することになる。学校給食野菜の提供や会員農家の余剰野菜に付加価値を付ける研究なども行った。

 

平成14年3月末 農産加工施設は、市野瀬に豆腐製造工場として生まれ変わるという構想ができたこと、会員の高齢化や、農業の後継者不足などにより「麦わら帽子の会」は解散に至る。

 

平成23年4月伊那市の指定管理制度に基づき、ファームはせが管理・運営することになった。

 

▶︎長く愛されている気の里工房の商品

人気商品の「天菜漬」は、長谷産の野菜を多く使っている。カレーのお供やおにぎりの具にも

 

地域を支えるお母さんたち

気の里工房では、以前はおやきや蒟蒻、豆腐なども作られていたそうだが、現在は漬物、味噌、煮豆、梅漬け、アイスクリームや味噌だれに品目がしぼられてきている。高齢化や後継者不足などが理由にあげられるが、加工所に集まるお母さん達は本当に元気だ。作業中、手を動かしながら時より話もする。かと思えば、次の作業の準備をしていたり、とにかく動きが止まることがない。どのお母さんを見ても皆テキパキと動く。「ごしたいなあ」(※方言で「疲れた」などの意)なんて皆口々にするが、体がつい動いちゃう。そんな様子なのだ。

 

休憩時間には、持ち寄りの漬物やお菓子をみんなでいただき、自分の畑の話、昔話などに花が咲く。豪快な笑い声が休憩室に溢れる。ふと時計を見て、時間になれば、ささっと作業場へ向かう。切り替えも早い。

 

加工機材が大きいことや、機械に頼らず手で行う作業が多い為、とにかく体力勝負だとお母さん達は口を揃える。また昔は婦人達も勤めに出ていることは少なかったが、今は皆勤めに出ているため、新しい仲間を見つけることが難しいのだという。

 

▶︎味噌づくりは、長谷産の米を使い、麹をたてるところから行っている。

味噌作りの一コマ

「麦わら帽子の会」で、事務局を勤められていた中山都美子さんは、今も現役で30年来、昔ながらの味をずっと守り続けている。加工作業の日には、必ず集合時間より前に行き、1人で手際良く準備を始める姿が印象的だ。「昔から通い続けてくれる仲間たちが来た時にスムーズに作業に取り掛かれるように「段取り」が大事だと、私もそう教わってきたんだ。と笑顔を見せる。

 

 

▶︎アイスクリームもファームはせで手作りしている

 

人同士の交流が薄れている昨今、必要なのは手仕事をしながら交流するこんな場ではないだろうか。気の里工房は、「麦わら帽子の会」のころから言われていた「生命を産み、命を育て、暮らしを支える」という婦人の力で、「子どもや孫たちから愛される故郷づくりを目指す」というお母さんたちの想いと強さを感じられる場所である。こんな婦人たちの想いを絶やすことなく、次世代へ繋いでいきたい。

 

 

▶︎2021年7月 長谷中学校とコラボレーションし、新商品を販売した

長谷の太陽の絞りだねを活用した甘辛ダレである。野菜やお肉にそのままトッピングしたり、炒め物の調味料にも

 

●店舗情報

気の里工房(きのさとこうぼう)

道の駅南アルプスむら長谷 ファームはせ

所在地:長野県伊那市長谷非持1400番地
電話:0265-98-2955
FAX:0265-98-2948
Mail:farm.hase@outlook.com
 
営業時間
直売所:4月~11月 9:00~17:30/12月~3月 9:00~17:00
食事処すずな:10:00~17:00
定休日:4月~11月 無休/12月~3月 火曜日
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