長谷ってどんなところ?

2022.3月

【長谷住民からのお便り】人と芸術に出会える場!Jazz Cafe『蔵ZEN』

道の駅、南アルプスむら長谷から少し南に進み、小道を山あいに登っていくと、そのカフェはある。大きな古民家の自宅と向かい合い、横に長い作りの土蔵が、今回の目的地『蔵ZEN』だ。国道沿いからいくつか置かれている看板を頼りに向かうのだが、どれも手作りで、温かい雰囲気で迎えてくれる。土蔵の前で靴を脱ぎ、店内に足を踏み入れると、珈琲の良い香りとサックスの音色が聞こえてきた。長谷に住む伊那市地域おこし協力隊の宮川沙加さんが、そんなJAZZ喫茶の魅力に迫った。

 

 

2018年7月にオープンした『蔵ZEN』だが、オーナーの中山善治(なかやま よしはる)さんが、実家の築130年の土蔵を改装し、JAZZ喫茶としてリフォームしたのが始まりだ。店内は、木材がふんだんに使われており、たくさんのレコードやC D、音楽系の書籍はもちろん、長谷の歴史についての文献なども置かれている。

ランチやカフェといった飲食だけではなく、貸ギャラリーも設けており、1ヶ月ごとに作家さんが入れ替わり、展示・販売をしている。また、様々なジャンルの音楽ライブや、マルシェのようなイベントも開催しているそうだ。

 

オーナーの中山さんは、もともと、ここ長谷で生まれ育ち、大学卒業後は営業の仕事をしていた。転勤族ということもあり、南は大阪、北は福島県までいく中で、大好きなJAZZ喫茶に頻繁に通っていたそうだ。

 

定年退職の少し前、千葉県に単身赴任していた頃に、親の介護のタイミングで帰郷することを決意する。田舎が嫌で出たこともあり、あまり前向きな決断では無かったと当時を振り返る。そんな時に、そういえば、うちに蔵があるなあ・・と思い出し、ここでJAZZを流す喫茶店をしよう!と一心奮起したそうだ。

 

初めての飲食業に不安もあり、奥様は反対。そんな奥様に怒られながらも、蔵のリフォームは楽しかったなあ・・と笑みをこぼすオーナーの姿が印象的だ。初めは、コーヒーの提供のみだったそうだが、今では奥様の協力もあり、パスタやピザ、デザートまでが揃う。おすすめは、奥様の出身地でもある名古屋名物のあんかけパスタ!賛否両論あると言うが、女性には割と人気なのだとか!?

 

▶︎蔵ZENあんかけパスタ

 

筆者が伺った際には、サックス奏者が練習に来ていた。他には、初めましてのお客さん同士が同じテーブルに座り、談笑していた。生の演奏を聞きながら、あたたかい食事をいただく、とても贅沢な時間だ。ここには、サックス以外にも、ピアニストなど様々な演者が練習やライブに来るとのことなので、タイミングが合えば生音を聴けるかもしれない。

 

どんなお客さんが来るのか尋ねると、登山客や、JAZZ喫茶巡りをしている方、石工や化石の研究者などと様々だ。「お客さんも色んな趣味や芸を持っている方が多く、そういった人々の交流の場にもなっており、自分たちも楽しませてもらっている」と中山夫妻は口をそろえる。お客さんの中には、ここに話を聞きに来て、移住を決めた方もいたそうだ。

 

また、伊那市社会福祉協議会が取り組んでいる「まちの縁側」にも認定されている。少人数が集う日常的な居場所を地域に作る取り組みだが、「近所の方に気楽に立ち寄ってもらえる場でありたい」という願いもあるようだ。そんな思いからも、中山夫妻の人柄が感じられる。

 

人と出会いたい、1人でゆったりと過ごしたい、地元の方でも、初めてでも、ここはそれぞれの願いが叶う場所だ。ランチ時間を過ぎてしまうと食事ができない店も多い中、ここは、営業終了まで食事をいただける。お昼のタイミングを逃してしまった!なんて時にも嬉しい。夏には涼しく、冬にはあたたかい土蔵の中で音楽に身をゆだね、ホッとひと息ついてみてはいかがだろうか。※自由に出入りする看板猫「ラス」に会えたらラッキーとのこと!

 

▶︎店内の奥がステージになっている

 

▶︎店舗カードの量から人脈の多さが伝わる

●店舗情報

蔵Z E N(くらぜん)

金曜日〜月曜日 AM10:00~PM5:00

カフェ・軽食・グッズ販売・貸ギャラリー

住 所:〒396-0401 長野県伊那市長谷非持1019

電 話:090-1860-3211

メール:zemiyug@gmail.com

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